特別支援・福祉カタログ Vol.7
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▲授業風景大学の授業では、TVド│ivretnI│ we▲ユニバーサルデザインと特別な支援「踏み台」、「母親」はどのような「支援」なのだろうか。多くの人は「支援」ではなく「当たり前のこと」という。「ユニバーサルデザイン」「合理的配慮」そのような「支援」へ。ラマやアニメなどに障害者がどう描かれてきたかなど、親しみやすい話も織り交ぜている過去には特殊支援学校の現場で教□をとり、文科省の政策策定のため全国の教育現場の声を集めた大西教授だからこそ、長年の経験に基づく話には説得力がありました。インクルーシブ教育の本質は、多様な背景のある者同士が互いに尊重し合い、支え合う関係を築くこと。それが社会として当たり前になれば、未来に向かい合う様々な問題に対しても手を取り合って解決できるかもしれません。インクルーシブ教育こそが持続可能な社会をつくるという言葉がよく理解できたインタビューでした。価値観が固定化しているのを感じました。「普通はそんなことしないよね」とか「普通なら理解できるでしょう」など……。インクルーシブ教育は、そうした「普通」の価値観から脱し、互いに認め合う大切さを学ぶきっかけになります。実際、私が支援に携わった子どもたちは「自分とは違う存在」を否定するのではなく、受け入れ、対話を重ねることで理解を深めていきました。「違いを認めることが当たり前」という認識が、社会全体に根付くことがインクルーシブ教育の本質なのです。―他者の違いを自然に受け入れる姿勢が、インクルーシブ教育の目指すところなのですね。では、その先にあるもの、先生の理想とするインクルーシブ教育の未来についてお聞かせください。理想の未来像は、「インクルーシブ教育」という言葉が不要になることです。今は合理的配慮の必要性が法的に定められていますが、本来は支援が特別なものではなく、自然に行われるべきです。たとえば、動物園で身長が低い子どもを親が抱き上げるのは自然な行為であり、誰もそれを「特別な支援」とは考えません。同じように、障害のある方が社会で快適に過ごせる工夫も「当然のこと」として扱われるべきです。こうした「当たり前」を社会に根付かせ、多様な人々が自然に支え合う共生社会を目指すものです。インクルーシブ教育こそ、持続可能な社会をつくり上げるといえるでしょう。取材を終えて▲東北福祉大学にて教育者の卵である東北福祉大学教育学部の学生たちと、インクルーシブ教育のあり方を語り合う大西教授▲大西ゼミの学生たち新たに教職に就く学生たちが、大西教授のもとから毎年巣立っていく―最後に、教育に携わる方々や学生の皆さんへのメッセージをお願いします。インクルーシブ教育は、社会全体の幸福に貢献する教育です。教育現場の方々には、それを信じて取り組んでいただきたいと思います。教員という仕事は、非常にやりがいがあり、成長する子どもたちの姿を身近で見ることができる喜びがあります。障害が重い子どもでも教育を受けることで必ず成長し、変化していきます。こうした成長を見届けることは、教育者にとって何にも代えがたい経験です。学生の皆さんには、大学で学んだインクルーシブ教育の理念を社会に出たときに広めてほしいですね。多様性を尊重し合うことの大切さを伝える“架け橋”となり、より多くの人が支え合う価値を理解できるように力を尽くしてほしいと願っています。

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