日陶科学 保健カタログ 2024・339号
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システムのため、養護教諭目線で必要な記録管理ができる点は、保健に特化している「診るルン」の方が使い勝手がいいといえます。は一切不要となり、バーコードを読み込んだら、測定してそのままデータが取り込め、自動的にExcelの一覧になって出力できます。 健康診断では、身長・体重以外にも1年生、3年生を対象に聴力検査を行っていますが、視力検査までは追いつかず、健診専門の業者に委託している状況です。養護教諭がもっと関わることができれば、生徒一人一人の小さな変化に気づくことができるかもしれないと思うと、できる限り自分たちでやりたいという思いはありますが、実現に至ってはいません。本校ではまだ導入していませんが、「全自動身長体重計」のように「診るルン」とつながる視力計がすでにあるとのこと。今後、健康診断機器もデジタル化が進んでいくことを思うと、健康診断のさらなる負担軽減と効率化に期待が高まります。全自動身長体重計と連動し健康診断結果をデータ保存 加えて利便性の高さを発揮したのが、「全自動身長体重計」と「診るルン」との連動です。養護教諭にとって「健康診断」は重要な業務の一つですが、本校には養護教諭が2名しか在籍していないため、 2,100人に及ぶ生徒の健康診断は、他の教員の協力を仰ぎながら授業に支障がでないよう進行しなければなりません。そのための必須アイテムとなるのが「全自動身長体重計」です。計量台に乗ると自動でカーソルが下降し、身長・体重を自動で測定してくれるというもので、測定にかかる時間がかなり短縮できます。 一方、「診るルン」に登録された生徒情報からは、氏名、学年、クラス、バーコードが記された「身体測定カード」が作成でき、身長体重測定の際にバーコードリーダーで生徒の個人情報を読み取ることができます。これにより測定結果がそのままパソコンに転送でき、測定データをファイルで出力できるとともに、データは「診るルン」で保存管理できる仕組みになっています。昔は来室記録と同じように手書きで一旦記録した個々の身長・体重をExcelに打ち込む作業が必要でしたが、生徒のバーコードがあればその手間効率化の成果をきめ細かい健康管理に 健康診断機器のデジタル化が進めば、私たち養護教諭も健診結果の有効活用に費やす余裕が生まれます。本校は中高一貫ですから、健康診断の結果は多くの生徒で6年間蓄積することができます。現在はまだ活用できていませんが、「診るルン」には「パーセンタイル発育曲線(成長曲線)」を作成できる機能があると聞きました。通常、体重を入力しないと描けなかった成長曲線が自動で描出できれば、育ち盛りの生徒の成長具合が迅速に確認できます。栄養状態の変化で成長の異常がある生徒に対しては、個別の指導もスムーズにできるようになると思います。特に近年は肥満で食事・運動指導を要する生徒と痩せにより受診を促す必要もある生徒の二極化が進んでいるので、健診結果を活かした生徒への健康指導はますます重視されると思います。 現在、養護教諭の業務の一環として、来室記録や健康診断結果を分析し、生徒の健康的な学校生活につなげるための提案を学期ごとに行っていますが、「診るルン」に蓄積された情報のわかりやすさのおかげで、分析もしやすくなりました。例えば来室記録も人数だけでなく、腹痛で来室した生徒が何人、頭痛での来室は何人といった具合に症状別の来室者数まで出してくれるため、1学期は新しい学年の始まりによる緊張などで、頭痛や腹痛を訴える生徒が多いといった傾向もつかみやすくなりました。新型コロナウイルスが5類感染症になってからは、感冒症状のある生徒を出席停止として自宅待機をさせる必要はなくなった一方で、風邪気味でもがんばって登校する生徒が増えているという傾向もいち早くわかり、教員と共有すべき生徒の健康情報は「回覧板」で発信しています。気圧の変化が激しい時季には頭痛を訴える生徒が多いなど、事前にわかっている傾向についてはあらかじめ「保健だより」で注意喚起や対処法などを紹介するようにして特 集N16

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