日陶科学_特別支援・福祉カタログ2021
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ニットー特別編集特集2全ての学校や幼稚園・保育園で起こりうるアナフィラキシーショック。※平成25年 「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議資料」 食物アレルギーなど何らかのアレルギーを持つ子どもの割合をご存知でしょうか。小・中・高校の4.5%もの子どもたちが食物アレルギー※と診断されています。その中には、アナフィラキシーショックを抑えるアドレナリン自己注射薬を処方されている子どもが一定数おり、万が一の際には直ちに投与する必要があります。しかし、せっかく注射薬を持って登校しても、教室のランドセルに入れたまま、別の教室や校外に出てしまう。あるいは保健室に預けているため、いざという時に誰かが取りに行かなければならないなど、現場では課題が指摘されています。注射薬をいつも身につけられるよう、保護者の方々とともに開発したヘルプキット。 一方、私たちアトピッ子地球の子ネットワークは、1994年からアレルギーの子どもたちを対象に100人規模のキャンプを開催しています。野外活動中、注射薬をどう持ち運ぶかは一つの課題。そこで、どんな場所でも気軽に持ち運べるよう、特にデザインに配慮。 このヘルプキットは、子どもたち本人が気兼ねなく身につけられるよう、黒色で、ポシェットのような肩から下げられるシンプルなデザインにしています。教室を移動する時や、遠足・修学旅行の時などに身につけて外出しても、目立たず気にならないと思います。このヘルプキットで、注射薬をいつも身につけて移動するスタイルが、学校生活はもちろん社会全体に広まることを願っています。アメリカで使われていた注射薬を持ち運ぶキットを譲り受けて使用していましたが、経年劣化で改めて自分たちで作ることに。保護者のワークショップでも改良を重ね、最終版が完成しました。開口部はいざという時、ひっかからず確実に開けられるマジックテープ式に。また夏場の温度管理のために、程よい大きさの保冷剤をセットしました。小さなキットですが、子どもの命を救うための知恵がたくさん詰まっています。ぜひ注射薬が必要なお子さんに持たせてあげて欲しいです。学校生活でも、きっとお役に立つはずです。給食や家庭科の授業、また体育や部活は、アレルギー性疾患を持つ子どもたちにとって、アナフィラキシーショックへの注意が必要な場面。万が一の際は、アドレナリン自己注射薬(エピペンⓇ)を投与しなければなりませんが、その注射薬を、学校現場の誰が、どこで、どのように管理するかについて明確な指針はありません。 そこで、アレルギー性疾患を持つ人を支えるためにNPO法人を立ち上げ、注射薬を持ち運ぶヘルプキットの開発にも携わる赤城智美さんにお話を伺いました。アナフィラキシーショックに備えるために。命を守るアドレナリン自己注射薬を持ち運ぶ「ヘルプキット」。アレルギー原因物質のない加工食品リストを配るなど、アトピー・アレルギー性疾患をもつ患者のQOL向上のための活動や、アレルギー問題の社会化に向けた普及啓発事業を行う。認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク新宿区高田馬場1-34-12 竹内ローリエビル405https://www.atopicco.org/認定NPO法人 アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長専務理事赤城 智美 さんあかぎともみ民間シンクタンクや環境NGOを経て、1993年アトピッ子地球の子ネットワークを設立。以来、アレルギーのある子どもとその家族の暮らしを応援する活動に精力的に取り組み、各地の教育現場や企業で多数講演している。※エピペンⓇはマイラン・インコーポレイテッド社の登録商標です。特 選 品N05m/

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