特別支援・福祉カタログ vol.4
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走ることは楽しむこと。こんなに走れるようになるとは思わなかった。 大西選手は競技場の外でもチャレンジし続けている。NHKをはじめとするテレビ番組に出演し、義足のファッションショーのモデルにもなる。所属する陸上クラブでは、初心者や子どもに義足での走り方を教え、請われれば、同じ境遇になった人のもとへ全国どこにでも会いに行く。現在のライバル、前川楓選手もその一人で、大西選手に誘われて陸上を始めた。しかし会いに行くのは、一緒に走ろうといった勧誘の意味だけではないと言う。 義足を付け始めた人に会いに行くというのは、以前からやりたかったことのひとつでした。だからスポーツに興味がありそうな人だけでなく、おばあちゃんにも会いに行きます。そんな人たちにとって、実際に義足で生活している人に話を聞くことはとても大事です。当時の自分もとても落ち込んでいたし、不安だらけでした。同じ経験をしてきた私が、少しでもその解消の手助けができればと思っています。スポーツをすることでその不安が取り除かれるのであれば、なおいい。テレビやファッションショーに出るのも同じ考えで、普段用の義足を見てもらい、切断しても普通に歩けるんだとみんなに思ってほしいんです。 大西選手は、自分はラッキーだと話す。義足ユーザーの陸上クラブに入り、走ることを始められた。彼女の才能もあったが、記録は年を追うごとに伸び、パラアスリートになることができた。しかし、これから始める人や子どもたちがみんな、パラアスリートを目指す必要はないと言う。 楽しむことが一番です。初めからパラリンピックを目指すのではなく、楽しんで長く続けてほしいと思います。私も走り始めた時は目指しておらず、心臓も悪かったので、こんなに走れるようになるとも思っていませんでした。それでも少しずつ挑戦を重ねてここまできました。 特に子どもたちには可能性があります。子どもたちに教える人には、最初からできないと決めつけないで、何に対してもチャレンジさせてあげてほしいと思います。可能性をつぶさず、広げてあげてほしいと思います。

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